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介護保険の苦情・相談対応業務
苦情対応業務の目的
制度における原則
- 要介護度に応じた自立支援のためのサービス
- 本人による選択と自由契約に基づくサービス
- 運営基準とサービスの質の向上
介護保険サービスは、サービス種類ごとに定められた事業運営の基準(指定基準)を満たし指定を受けた事業所・施設が提供する。
基準には、サービス提供の前提となる人員基準・設備(施設)基準、サービス提供に関する運営基準がある。
基準はサービス事業が目的を達成するために必要な最低限度を定めたもので、指定を受けた事業所は、
常に事業運営とサービスの質の向上に努めなければならない。
また、サービスは、自ら行う質の評価等により、常に利用者の立場に立って提供することが求められている。
苦情対応の意義
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1.権利擁護
介護サービスの利用者は、本来自分でサービスを選択して契約をしているという意味では、事業者とは対等の立場でサービスを利用することができるはずであるが、現状は、サービスを受けているということから、要望や苦情が言いにくい状況にあると考えられる。また、もともと、利用者と事業者では介護保険等に関して持っている情報量や知識に差(違い)があるので、 契約を行う前提として利用者の保護が必要となる。 その権利擁護の一つとして、苦情対応業務としての機能がある。
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2.サービスの質の維持・向上
苦情対応の目的は、利用者・家族等からの苦情を通して、利用者の権利を擁護することにあると同時に、 事業者に対して調査し、指導、助言を行うことにあるが、実際には苦情に至った経緯や サービスの質の向上を事業者と共に考えることで、 サービスの質が一定の水準で確保されることに意義がある。
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3.介護保険制度のサービス内容及び介護諸費用の適正化
苦情対応の業務を通じて、介護保険制度が真に所期の目的を達成しているか、 不適正・不正な介護サービスが提供されていないか、といったチェックもなされることになり、 介護保険制度全体の安定に資する機能がある。
苦情対応の位置づけ
介護保険制度における苦情対応は、
「運営基準」及び「介護保険法」に明示がある。
「運営基準」には、事業者は利用者からの苦情に迅速かつ適切に対応すべきことや
市町村が第一次的な苦情受付窓口として位置付けられていることが明示されている。
介護保険法第176条には、介護保険の円滑な運営のために、国民健康保険団体連合会(以下、「国保連合会」という。)において、
被保険者等からの苦情を受け付け必要な指導及び助言をすると明示がある。国保連合会が広域的対応が可能であること、
並びに介護サービスにおいて第三者機関であること、審査・支払業務を通じて、受給者及び事業者に関する情報を保有すること等の理由によって、
国保連合会は介護保険法上の苦情処理機関として位置付けられている。
「運営基準」平成11年厚生省令第37号~41号、平成18年厚生労働省令34号~37号から抜粋
( 例:訪問介護 )
第三十六条 指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に係る利用者及びその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならない。
2 指定訪問介護事業者は、前項の苦情を受け付けた場合には、当該苦情の内容等を記録しなければならない。
3 指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に関し、法第二十三条の規定により市町村が行う文書その他の物件の提出若しくは提示の求め又は当該市町村の職員からの質問若しくは照会に応じ、及び利用者からの苦情に関して市町村が行う調査に協力するとともに、市町村から指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
4 指定訪問介護事業者は、市町村からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を市町村に報告しなければならない。
5 指定訪問介護事業者は、提供した指定訪問介護に係る利用者からの苦情に関して国民健康保険団体連合会(国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会をいう。以下同じ。)が行う法第百七十六条第一項第三号の調査に協力するとともに、国民健康保険団体連合会から同号の指導又は助言を受けた場合においては、当該指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならない。
6 指定訪問介護事業者は、国民健康保険団体連合会からの求めがあった場合には、前項の改善の内容を国民健康保険団体連合会に報告しなければならない。
介護保険法からの抜粋
第百七十六条 連合会は、国民健康保険法の規定による業務のほか、次に掲げる業務を行う。
三 指定居宅サービス、指定地域密着型サービス、指定居宅介護支援、指定施設サービス等、指定介護予防サービス、指定地域密着型介護予防サービス及び指定介護予防支援の質の向上に関する調査並びに指定居宅サービス事業者、指定地域密着型サービス事業者、指定居宅介護支援事業者、介護保険施設、指定介護予防サービス事業者、指定地域密着型介護予防サービス事業者及び指定介護予防支援事業者に対する必要な指導及び助言
その他 ( 介護保険の苦情対応と関連のある法律等 )
社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律
(平成十二年法律第百十一号)関係[平成12年6月7日公布・施行]
社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)
第八十三条 都道府県の区域内において、福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するとともに、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、都道府県社会福祉協議会に、人格が高潔であって、社会福祉に関する識見を有し、かつ、社会福祉、法律又は医療に関し学識経験を有する者で構成される運営適正化委員会を置くものとする。
第八十五条 運営適正化委員会は、福祉サービスに関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、当該苦情に係る事情を調査するものとする。
2 運営適正化委員会は、前項の申出人及び当該申出人に対し福祉サービスを提供した者の同意を得て、苦情の解決のあっせんを行うことができる。
第八十六条 運営適正化委員会は、苦情の解決に当たり、当該苦情に係る福祉サービスの利用者の処遇につき不当な行為が行われているおそれがあると認めるときは、都道府県知事に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。